もう年は明けてしまったけれど、2018年はたくさんのグループが、そしてたくさんのファンがいろんなものを失った1年だった(その分得たものもあったが、それはまた別グループの話をする時に書きたいと思う)。「2018年とは解釈違い」、まさにそんな年だった。私が好きなグループも例外ではなかった。その中の1つがPrizmaXである。
2018年2月17日、yoursのリリースイベント大阪でのこと。13時になっても始まらず、アナウンスによって開始の遅れが告げられた。そして申し訳なさそうに謝りながら出てきたのはティムさんを除く4人。理由は本人の体調不良だった。歌詞カードを見ながら何とか1人で歌い切るウィンさん、そしてファンを気遣うMC。超特急からコーイチが脱退して間もなかった私には、あまりにも心が苦しくなるイベントだった。仕方がないことだとしても、誰かが欠けているのを見るのは心の底から楽しめるものではなかった。
その後私は個別握手会でウィンさんに「ティムさんにもよろしくお伝えください」と話した。優しく微笑んでくれたウィンさんの手は暖かかった。その日のうちに特典券が後日使用できることもアナウンスされ、消化不良のリリースイベントは幕を閉じた。
6月2日、FUSIONのNHK大阪ホール公演。当日券も捌ききれず、後方には空席も見えた。それでもダンサーを従えた圧倒的なパフォーマンス、何よりもティムさんとウィンさんのツインボーカルがあまりにも素晴らしく、特にフェイクの掛け合いの激しさに震えた。ボーカルだけの弾き語りコーナーもあり、あの日の消化不良も乗り越えた気がした。全力で楽しかった、やり切った、やっぱりPrizmaXのツインボーカルは最高だと思った。
ティムさんの個別握手会にもしっかり参加し、「REBORNのフェイクが素敵でした!」と言うと少し照れながら嬉しそうにはしゃいでいた。
雲行きが怪しくなってきたのは6月16日。私は行けなかったのだが、FUSION市川市文化会館公演のラストに翼くんが涙を見せたという。その涙の意味について憶測が飛び交った。その時すでにDISH//から小林龍二も脱退しており、まさかそんなことが続くとは思っていなかった。もう誰も欠けさせないと、どうにも出来ないながらどこかで信じていたかった。
そして6月25日。ティムさんの脱退が発表された。その1週間前に大阪で大きな地震があったから発表を遅らせたのだろう、その気遣いさえも痛かった。用意していたようにメンバーそれぞれのブログが上がった。FUSIONが5人の最後の思い出だったこと、でもそれを見せないようにしようと決めたこと、解散という言葉は出なかったこと、これからは4人と1人で頑張っていくこと。
何よりも辛かったのは、コーイチの時と同様に私は何も気付けなかったことだ。仲良くしてくれていたティムさん推しのお姉さんは泣きながら「彼だけブログの更新が少ない、SNSもしない、予感はあった」と教えてくれた。
私は何を見ていたのだろう、表面的な好きだったのではないか。でもそんな予感に気付いてしまうのは、それはそれでしんどいだろう。推しではない人がいなくなる悲しみをどう吐き出したらいいのか、私は今でも分からない。
4人を見に行けないまま時が過ぎ(何しろ関東でのイベントにしか出てくれないもので)、やっと見に行けたのは大樹さんがX-traとして出演していた9月23日のOSAKANOWだった。
その間ティムさんがTwitterやInstagramのアカウントを開設したりということもあったが、それは本人が元気に過ごしている安心感を与えてくれたものだったのでここには明記しない。
大樹さんはそのイベントで、小さな小さな箱で、Dear My Friendという曲を歌った。バースデーライブでしか歌わなかったというあの曲。本当は自分の中で区切りをつけるためだけに作った、披露するあてのない曲。誰が聴いてもティムさんへ向けた曲で、むしろ本人が言葉を選びながらそう言っていた。「本音を言うなら辞めるな、逃げるな」「裏切り者だけど嫌いになれない」「またいつか笑って会おう」──。
泣いてしまった。泣くしかなかった。あまりにもストレートな気持ちがたくさん突き刺さった。それでも今はあの曲が聴けてよかったと思う。本人の言葉で紡がれた思いを聴けてよかったと思う。他人の言葉で綴られた思いを憶測で聴く方が、よほどしんどいかもしれないから。
それからティムさんがインスタライブで「脱退に関しては後悔していない」と言い切ってくれたり、「また歌いたい」と言ってくれたりした。辞めた本人の言葉も残った本人の言葉もそれぞれ聞くことができて、そこで気持ちの整理をし終えたつもりでいた。
12月29日、梅田CLUB QUATTROではライブが行われる予定だった。しかしウィンさんの不在により、FUSIONの上映と3人のトークイベントに変更となった。
行く前はどうしても気持ちの持っていき方が分からず、行きたくない行きたくないと愚痴っていた(ほんとにごめんなさい)。当日電車に乗っても会場に着いても椅子に座っても、気持ちはぐらぐらだった。事実FUSIONの映像を見て、歌って踊るティムさんを見て、泣いてしまった。「FUSIONは5人の集大成」と言い切る大樹さんの言葉にも泣いてしまった。
それでも4人のPrizmaXという新たな物語を作ろうとしている彼らの前向きさに救われた。もう私も引きずってはいられないと思った。諦めるような形でも、過去に縋るのはやめようと思った。 結果的には楽しかった。楽しかった、はずなのに。
2019年1月1日。PrizmaXは新メンバーを募集すると発表した。すぐに大樹さんがTwitterでフォローを入れてくれた。そうだ。5人を辞める時も、4人を辞める時も、そこにはしっかりメンバーの意思があって、だからきっとこれは必要なことなんだ。彼らはもう立派な大人だ。自分が進む道は自分で選べる。だって大樹さんがそう言ってる。だって。
でも、もう無理なのかもしれない。ウィンさんだけが突出して売れているのに、それがグループに還元されていかない。その中で無理やり保ってきた4人の形が、梅田CLUB QUATTROで崩壊してしまった。きっともうソロボーカルではフォローできないんだと思う。音源を流してカバーしようなんて人たちでもない。これから先、どうなっていくんだろう。私はどこまで着いていけるんだろう。変わっていくことは、やっぱり怖い。きっとPrizmaXだけを好きなわけではないから余計に。